アンチJリーグを増やす現体制(その1)
現在のJリーグのチェアマンに元Jリーガーの方が就任しています。このことは、金銭面を含めた支援をしている企業や自治体を蔑ろにした選手目線の運営になっているように感じます。事実、私の周りからJリーグに対する悪評を頻繁に聞くようになりました。
一方、人気の出てきたBリーグのチェアマンに生粋の経営者の方が就任し、Jリーグと類似したシステムを廃止し、自治体やスポンサーに負担を掛けないクラブチームの経営力を重要視する大改革を2026年から実施します。
最近のJリーグを悪評の中で代表的な意見について考えてたいと思います。
まず、どうしても読んで貰いたい2つの記事が有ります。
(1)『会社四季報ONLINEが掲載した『豪腕・野々村チェアマンが描く「稼げるJリーグ」への青写真 カギは「200億円クラブ」の創出だ』という記事』
あくまで私個人の感想ですが、この記事には、目標を達成するまでの経営戦略やビジネスモデルについての記述が全く無い為、子供の書いた『将来の夢』レベルと言われても仕方ない内容だと思いました。
(2) 日本経済新聞に掲載された『「J」の価値、再定義の道 村井満・前Jリーグチェアマン Jリーグ30年を温ねて(4)』という記事
出だしからショッキングで『「君たちは「ゼイリーグ」だ。どれだけ税金を使うんだ。赴いた先の地方でなじられ、前Jリーグチェアマンの村井満は頭を下げた。「Jと関わると抜けられない。悪質商法みたいだ」と笑えない冗談を投げかけられもした。』で始まっており、まさに現体制がよりエスカレートさせているJリーグの本質を的確に表しています。
多くの人から問題点と指摘される点をピックアップしてみました。
サッカー専用スタジアムについて
『200億円クラブを目指そうと思うなら、それにふさわしいスタジアムを持つことがマストではないかと感じました。それを多くのクラブ関係者やサポーターの方に伝えたいところです。』(出典:会社四季報ONLINE)
もちろん、プロスポーツである以上、専用スタジアムを持つことは否定しません。
ただ、公共性の無いJリーグ専用スタジアムを持つなら、クラブチームがサッカー専用スタジアムを建設するべきだと思います。
自治体に税金でサッカー専用スタジアムを建設して貰うのであれば、市民がサッカーフィールドを使用できない期間は、クラブチームが使用料と芝の管理費用を負担するべきだと思います。
税金の投入は当たり前と思っているのか、スタジアムへの要求がますますエスカレートしているようです。つまり、私的な収益のために税金の投入するのは当然だと言っているように感じます。
市民により『自治体が民間企業の収益のために多額の税金を投入すること』について『税の私的流用』で首長や議員を提訴してもいい事案だと思います。(参考:栃木市岩舟総合運動公園内のサッカー専用スタジアム提訴)
集客について
『観客数が増えれば入場料収入も伸びますし、グッズや飲食などの販売も増える。』(出典:会社四季報ONLINE)
これは至極当然のことを話しています。
しかし、Jリーグは主催ゲーム数が少ないという前提条件がつきます。その条件の中で、200億円クラブチームになるために必要な集客数と期待される収益、さらにそれを実現する為の戦略やビジネスモデルが一切語られていません。
『日本はこの30年間、経済成長が止まり、給与水準も上がっていないと言われますが、そこを変えなければ成長もない。』(出典:会社四季報ONLINE)
クラブチームのスタッフや選手などへの支出については理想を語っていますが、その資金の調達についても語られていません。
収益について
『親会社(筆頭株主)の存在があるのは事実ですし、サポートしてくれるのはありがたいことです。しかし、そこに依存しすぎていてはいけません。自ら稼いでグローバル基準に引き上げるような経営者やクラブスタッフがもっともっと出てくる必要があると思います。』(出典:会社四季報ONLINE)
『まずは売上高200億円を目指して前進していくしかない。そのためのさまざまなチャレンジを模索していきます。』(出典:会社四季報ONLINE)
『選手たちも成功したい、稼ぎたいと思うから、海外挑戦に打って出ている。Jリーグはそういう格上リーグやクラブ、マーケットに近づく努力をしなければいけないと僕は考えています。』(出典:会社四季報ONLINE)
元Jリーガーらしく、Jリーグだけの目線で考えているように感じます。
プロスポーツ団体のチェアマンであれば、国民に受け入れられるプロスポーツのクラブチームとしての収益構造・戦略やビジネスモデルを語るべきだと思いました。そして、それはアンチJリーグを含めた自治体や市民へのメッセージになると思います。
この会社四季報ONLINE の記事のインタビュアーの方はサッカー・ジャーナリストだと紹介されています。
この方の最後のコメントが『自分自身が元Jリーガーで、元クラブ社長でもあるため、選手目線・経営者目線の両方から考えを口にできるところが大きな強みでしょう。』(出典:会社四季報ONLINE)となっています。
私個人的な感想ですが、この記事の内容のどこを読めば経営者目線となっているのか全く理解できません。
この方は、税金を頼りに高い理想の実現やクラブチームの収益を目指すことが経営者目線の考え方だと思っているのでしょうか?
この記事には掲載していないが、税金頼みのリーグ運営から脱却し、クラブチームが200億円クラブになるためのロードマップやビジネスモデルを語ったのであれば、それを記事で紹介するべきだと思います。それが無ければ、この記事は、多くの人に誤解を与える上、さらに批判を助長することになります。
『選手目線・経営者目線の両方から考えを口にできるところ』(出典:会社四季報ONLINE)と言っている根拠となる部分を、是非、記事にしてください。
出典:会社四季報ONLINE『豪腕・野々村チェアマンが描く「稼げるJリーグ」への青写真』(2024/08/30)
https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/774109
出典:日本経済新聞『「J」の価値、再定義の道 村井満・前Jリーグチェアマン』 (2024/08/30)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODH0837M0Y3A500C2000000/
以上